新型黄さびがYr15小麦抵抗性を北欧全域で突破、イングランドで深刻な流行、フランス、ベルギー、スカンジナビアへ拡大
デンマークの世界さび病参照センターが「チャンピオン」と命名した新型小麦黄さびレースが、2025〜2026年にかけて欧州北部・中部の広域でYr15抵抗性遺伝子を突破した。イングランドの全国小麦作付け面積の約50%がYr15品種で、フランス、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、チェコ共和国でも確認され、AHDBは緊急の改定抵抗性評価を発表した
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要約
デンマークのアーフス大学にある世界さび病参照センターによって「チャンピオン」と命名された新しい黄さびレースが、2025年栽培シーズンに欧州北部から中部にかけての広い地域でYr15抵抗性遺伝子を突破し、2026年も続いた。英国のNIABとジョン・イネス・センターでの遺伝子型解析により、チャンピオンレースは2024年後半の突然変異によって進化したことが明らかになった。Yr15はその野生小麦由来と長年にわたる幅広い有効性から、商業小麦育種において最も耐久性の高い抵抗性遺伝子の一つとされていた。イングランドの全国小麦作付け面積の約半分がYr15保有品種で作付けされており、2025年に北部と東部イングランドで深刻な流行が起きた。2026年春までにフランス、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、チェコ共和国でも同様の発生が確認された。英国の農業園芸開発委員会は緊急早期抵抗性評価を発表し、生産者に殺菌剤プログラムを見直すよう警告した。アーフス大学の植物病理学教授モーゲンス・ホウムラー氏は「ヨーロッパで長期間にわたり最も重大な黄さび抵抗性の崩壊」と述べた。
見解の相違
BGRIや欧州各国の研究機関の植物病理学者たちは、Yr15の崩壊は深刻ではあるものの、さび病抵抗性遺伝学の歴史において前例がないわけではないと強調した。主要遺伝子は病原体集団の進化に伴って崩壊を繰り返しており、解決策は単一遺伝子品種への依存ではなく複数の抵抗性遺伝子を積み重ねることだと述べた。英国とアイルランドの農業メディアは、生産者が直面する直接的かつ実際的なコストを強調した。2026年の殺菌剤費用増加と、介入前に流行が深刻化した圃場での収量低下の可能性だ。一部の農業コンサルタントは、種子の供給が許す限り早期にYrSP、YrW、または他の非Yr15抵抗性遺伝子を持つ品種への切り替えを推奨した。種子会社は代替認定種子の生産拡大に最低18〜24カ月が必要だと指摘した。
数字で見る
- 50%: Yr15保有品種が占めるイングランドの全国小麦作付け面積の概算割合
- 2024年後半: チャンピオンレースの突然変異起源の日付(NIAB/ジョン・イネス・センター遺伝子型解析)
- 2025年栽培シーズン: 北部と東部イングランドでの最初の深刻な流行
- 2026年春までに確認された発生国: イングランド、フランス、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、チェコ共和国の7カ国
- Yr15は1990年代に野生小麦で初めて確認され、欧州の商業育種に導入された
なぜ重要か
Wheat Rustの毒性株のポートフォリオは、多くの生産地域での抵抗性遺伝子の普及より速いペースで拡大している。Yr15はその耐久性のゆえに特別に導入された遺伝子であり、商業栽培から30年足らずで失敗したことは、急速に進化する病原体集団に対する単一遺伝子抵抗性戦略の限界を示している。欧州北部と中部を合わせると年間1億トンを大きく超える小麦を生産しており、Yr15保有品種での黄さびの大規模流行は、主要な消費国でもあり輸出国でもある地域における収量予測、投入コスト、そして食料価格の安定に直接影響する。
注目点
- チャンピオンレースが東欧とYr15保有品種が広く作付けされているウクライナに拡大するかどうか
- 被害を受けたイングランドとフランスの産地における2026年収穫の収量損失推定
- 非Yr15代替品種の認定種子生産拡大に向けた種子会社のタイムライン
- Yr15の崩壊が欧州の小麦育種プログラムにおける多重遺伝子スタッキングまたはゲノム編集の採用を加速させるかどうか