パラグアイとブラジルのイタイプー附属書C交渉、2026年12月期限を前にメルコスール首脳会議で暗礁に
2026年7月2日にアスンシオンで開催されたメルコスール首脳会議で、パラグアイとブラジルは改定附属書C電力配分方式について合意に至らなかった。2024年暫定関税と2007年操業協定の失効を前に、パラグアイ電力公社ANDEは2027年1月以降は根本的に新しい交渉枠組みが必要と認めている
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概要
パラグアイとブラジルは2026年7月時点でイタイプー条約の附属書Cの正式改定に至っておらず、アスンシオンで開催された6~7月のメルコスール首脳会議でも突破口は開かれなかった。2つの協定が2026年12月31日に同時に失効する。2024年5月のペニャ・ルーラ暫定関税(キロワット月当たり19.28ドル、2年間の暫定措置)と、パラグアイの電力公社ANDEにイタイプー余剰電力への優先低コストアクセスを付与する2007年操業協定だ。ANDEは二重失効が2027年1月以降の電力供給に「新たな形の交渉」を迫ると公式に認めた。両政府が「歴史的」と評した2024年の暫定合意はパラグアイに年間約12.5億ドルをもたらすが、パラグアイは市場価格でのイタイプー産出の正当な配分はもっと高いはずと長く主張してきた。2026年4月に流通した市民社会の提案は、パラグアイの補償を6倍にしてパラグアイ・ブラジル・アルゼンチンの持株会社に再編することを求めた。イタイプー電力の米国支援のエネルギー取引も交渉中と伝えられており、パラグアイが電力持分を二国間条約の枠外の買い手に売ることを可能にする可能性がある。外相ルベン・ラミレス・レスカノとマウロ・ヴィエイラが2026年3月に2025年のスパイスキャンダルで凍結していた交渉を再開したが、メルコスール首脳会議では具体的な結果は出なかった。
見方の違い
サンティアゴ・ペニャ大統領率いるパラグアイ政府は現行の暫定関税は最低限であって上限ではなく、正式な附属書Cは実質的に高い収益をもたらすべきだと主張している。一方ルーラ大統領下のブラジルはブラジル産業の電気代を引き上げるような価格上昇に抵抗し、イタイプーは第三者が関与できない二国間問題だと主張している(米国による取引提案を念頭に置いた立場だ)。パラグアイの野党と市民社会グループは透明性なく行われた交渉を批判し、条約53周年を構造的見直しの機会と位置付けた。最も破壊的な要素は米国の角度、つまりパラグアイが電力を国際的な買い手に売ることを可能にするかもしれないシナリオだ。アスンシオンがこれを追求すれば条約の根幹に挑戦することになる。
数字で見る
- キロワット月当たり19.28ドル: 2024年5月ペニャ・ルーラ合意で設定された暫定関税
- 12.5億ドル: 2024年条件下でのパラグアイの年間イタイプー収益の概算
- 2026年12月31日: 2024年暫定関税と2007年操業協定の両方の失効日
- 53年: 2026年4月26日時点のイタイプー条約の年数
- 14ギガワット: イタイプーの総設置発電能力(世界最大級の水力発電所の一つ)
- 1: 2026年のメルコスール首脳会議(アスンシオン)で附属書Cの結果が出なかった回数
重要な理由
イタイプーはパラグアイ経済で最も重要なインフラ資産だ。同施設が生み出す電力収益はパラグアイのGDPの相当部分を占め、大規模な公共投資の財源となっている。パラグアイとブラジルが後継合意なしに2027年1月を迎えれば、イタイプー運営の法的・財政的枠組みは未定の領域に入る。もし米国エネルギー取引が追求されれば、アスンシオンが電力を二国間取り決め外で売るというパラグアイの条約上の権利を初めて具体化しようとする動きとなり、ブラジルが法的・外交的に争う可能性が高い。
注目点
- パラグアイとブラジルが2026年12月31日前に正式な附属書C合意に達するか。
- パラグアイがイタイプー電力産出を第三者の買い手に転換することについて米国の相手方と正式な交渉を進めるか。
- メルコスール首脳会議の失敗がパラグアイの交渉姿勢の硬化や国内政治危機を招くか。
- ANDEが操業協定が更新されない場合に備えて2027年の代替電力供給契約を確保できるか。