アンディ・バーナム
元グレーター・マンチェスター市長で英国閣僚を3度務めた政治家。2026年7月時点で英国労働党の党首・首相候補として唯一出馬を表明した人物。
リストに追加
リストはまだありません。
概要
アンディ・バーナムは英国労働党の政治家で、2017年5月から2026年6月までグレーター・マンチェスター市長を務めた。2026年7月時点でキア・スターマーの後継として唯一の党首候補を表明しており、事実上の次期英国首相となる見通しだ。彼の出馬はグレーター・マンチェスターで9年間にわたり実施してきた分権実験、とりわけ公共交通の統合と地域経済戦略を、英国の国政論争の中心に引き込むものとなっている。
歴史
1970年1月7日にリバプールで生まれ、チェシャーのメイカーフィールド近郊で育ったバーナムは、2001年6月にランカシャー州リー選挙区から労働党議員に初当選した。ゴードン・ブラウン首相の下で3つの閣僚職を歴任し、財務副大臣(200708年)、文化・メディア・スポーツ大臣(200809年)、保健大臣(2009~10年)を務め、英国のNHS改革を主導した。
2010年5月の英国総選挙で労働党が敗北した後も影の内閣に留まり、その後影の内務大臣を2016年まで務めた。党首選には2度挑戦、2010年はデビッド・ミリバンドとエド・ミリバンドに次ぐ3位、2015年はジェレミー・コービンに次ぐ2位だった。
2017年、初代グレーター・マンチェスター市長に就任するため議員を辞職した。この新設の広域自治体ポストは警察権限を含んでいた。市長として市内のバスと路面電車を一本化した公共フランチャイズ「ビーネットワーク」を確立し、英国の都市圏で数十年ぶりとなる大規模な交通統合を実現した。2020年10月にはボリス・ジョンソン首相とのコロナ制限を巡る公開対立が全国的な注目を集め「北のキング」と呼ばれた。2021年と2024年に再選。
現状
バーナムは2026年6月19日のメイカーフィールド補欠選挙で国会に返り咲いた。現職議員のジョシュ・サイモンズが立候補を可能にするために辞職したためだ。英国法では警察・犯罪委員権限を持つ市長職と議員職の兼任が禁止されているため、同日付で市長を辞職した。
6月22日、スターマーが党首・首相の辞任を表明。バーナムは同日に立候補を宣言し、6月末まで唯一の表明者にとどまった。ウェス・ストリーティング元保健大臣が支持を表明し、解説者たちは「無投票当選」の可能性が高いと分析した(バーナム、ダウニング街へ王手。労働党の指導者選びは戴冠式へ参照)。
6月29日、マンチェスターで経済公約を発表。10年間の再工業化計画、エネルギー・水道・交通に対する公的管理の強化、「マンチェスタリズム」と名付けた分権モデルを打ち出した。また政府の一部をウェストミンスターから移転する「北のダウニング街10番地」も提案。労働党の既存財政規則と借入上限は守ると明言し、財政継続性を示しながら所有形態の構造的変革を訴えた(バーナム、マンチェスターで「ウェストミンスターは壊れている」と演説。「マンチェスタリズム」と「北のダウニング街10番地」を提唱および市場はバーナム首相誕生とリーブスの財政ルールの行方を注視する参照)。
労働党の候補者受付は2026年7月9日に始まり16日に締め切られる。バーナムが唯一の候補者であれば、7月17日に首相に任命され、10年間で7人目の英国首相となる可能性がある。
関係
スターマー政権の2024年閣僚中で最も影響力のある一人であるストリーティングの支持表明は、バーナムに即座に議会での重みをもたらした。労働党副党首のルーシー・パウエル、住宅大臣のスティーブ・リード、元軍事担当大臣のアル・カーンズが2026年6月下旬まで有力な対立候補として名前が挙がっていたが、いずれも出馬を表明しなかった。ドナルド・トランプはバーナムを「極度のリベラル」と評し、バーナム主導の英国政府がワシントンから受ける外交的扱いの兆候を早くも示した。
左派との関係は歴史的に複雑だ。2015年に中道候補として臨んだ党首選でコービンに大敗した。2026年のプラットフォームは公的所有の面でスターマーより左寄りだが、同じ財政枠組みを維持しており、意図的な再配置と言える。
注目点
- 2026年7月16日の締め切り前に対立候補が現れ、全党員による本格的な選挙に突入するかどうか。
- 詳細な政策綱領において拡大した公的所有と英国財政規則をどう両立させるか、そして英国の国債市場がその区別を受け入れるかどうか。
- 都市圏規模で試みた分権モデルが、国スケールで英国財務省と中央官僚組織との接触に耐えられるかどうか。
- バーナム体制下での労働党の支持率が次期総選挙(2029年までに実施)に向けどう推移するか。