MPマテリアルズがテキサスでNdFeB磁石生産を開始、国防総省が筆頭株主に
フォートワースの「インディペンデンス」工場は2025年12月に初出荷、2026年第1四半期のNdPr生産は過去最高の917トン。国防総省の4億ドルの出資と1キロ110ドルの価格下限で、米政府が米国の磁石供給の裏付け役となる
リストに追加
リストはまだありません。
概要
MPマテリアルズのテキサス州フォートワースにあるインディペンデンス工場は、2025年12月にネオジム鉄ボロン(NdFeB)永久磁石の商業生産を開始し、1990年代以来初となる米国内での大規模な磁石製造となった。2026年第1四半期、MPはマウンテンパス鉱山で希土類酸化物を12,983トン(前年同期比6%増)、ネオジム・プラセオジム(NdPr)金属を過去最高の917トン(前年同期比63%増)生産した。国防総省は2025年7月10日に出資を深め、4億ドルのMP株を取得して同社の筆頭株主となり、加えて重希土類分離の拡張へ1億5,000万ドルの海外戦略信用融資を実施した。10年間の価格下限メカニズムが全NdPr製品に1キロ110ドルを保証し、国防総省が市場の不足分を補填し、基準を上回る値上がり益の30%を得る。フォートワースでの10倍拡張計画が実現すれば、米国の磁石能力は合計で年産10,000トンになる。2026年6月22日の中国によるMPマテリアルズのエンティティリスト指定は生産を止めなかった。MPはすでに中国の投入供給網から大きく離脱していたためだ。
見解の対立
市場は当初、6月22日の中国によるMPのエンティティリスト指定を象徴的なものと読み、株価は上昇し、中国非依存という立ち位置の論拠を裏付けた(モトリーフール、ブルームバーグ)。SFAオックスフォードの金属調査の視点は、国防総省の価格下限メカニズムをより重大な構造変化として注目する。米政府を需要の後ろ盾にすることで、ワシントンは中国が支配するNdPr価格の水準にかかわらず、国内の希土類加工の採算を10年間事実上保証した。コロンビアSIPAのアナリストらを含む批判派は、マウンテンパスが軽希土類を産出する一方、高温磁石に不可欠な重希土類(ジスプロシウム、テルビウム)の分離能力はなお建設中であり、現状の鉱山から磁石までの連鎖は最も防衛上重要な元素については未完成のままだと指摘する。
数字で見る
- 917トン、2026年第1四半期のマウンテンパスでのNdPr生産(過去最高、前年同期比63%増)。
- 12,983トン、2026年第1四半期の希土類酸化物総生産(前年同期比6%増)。
- 年産1,000トン、稼働後のフォートワース・インディペンデンス工場のNdFeB磁石予定能力。
- 年産10,000トン、10倍拡張後の目標磁石能力。
- 4億ドル、国防総省のMPマテリアルズへの出資(2025年7月)。
- 1億5,000万ドル、重希土類分離拡張向けのOSCP融資。
- 1キロ110ドル、国防総省が10年間保証するNdPr価格下限。
- 2026年6月22日、中国がMPマテリアルズを輸出管理エンティティリストに指定した日。
なぜ重要か
MPマテリアルズは米国で唯一稼働する希土類鉱山であり、いまや唯一の米国内NdFeB磁石生産者だ。鉱山から磁石までの垂直統合は、政府の価格下限に支えられ、中国の輸出管理体制が2025年4月以降突いてきた依存に直接対処する。ただし同工場は、世界の高性能磁石市場の約90%を占める中国の磁石生産に比べれば依然小規模だ。国防総省の価格下限モデルは、同盟国との米国の価格下限枠組みの通り、他の重要鉱物の供給網確保の雛形として同盟国政府に研究されている。
今後の注目点
- フォートワースの生産立ち上げ。年産1,000トンの公称能力が2026年に達成されるか2027年にずれ込むか。
- マウンテンパスの重希土類分離拡張。ジスプロシウム/テルビウム加工の時期と規模。
- NdPrが1キロ110ドルを上回り続けた場合(2026年第1四半期はそうだった)、国防総省の価格下限が実際の補填支払いを発動するか。
- 10倍拡張の資金調達と許認可の時期。