習近平、デフレとイラン衝撃のなかで大規模刺激策を拒否
製造業稼働率が10年ぶりの低水準、小売成長率が3年ぶりの底値に沈むなか、北京は消費者救済ではなく「反内巻」で応答
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概要
習近平は、中国経済が軟化するなかでも大規模な消費者救済策を拒んでいる。 習近平が議長を務める中国共産党政治局は6月下旬に会合を開き、中国人民銀行 系列の国営メディアの論調によれば、市場が求めていた広範な景気刺激策ではなく、「柔軟かつ 標的型」の金融政策と水道・電力・情報インフラの前倒し整備を約束した。製造業の設備稼働率は 約73.9%に低下し、10年ぶりの水準に近い。4月の小売売上高は前年同月比0.2%増にとどまり、 ゼロコロナ政策終了後で最も弱い伸び率だった。イラン戦争による 石油価格の急騰が輸入コストを押し上げる。北京の答えは「反内巻」(反内卷)、すなわちEV・ 太陽光・鉄鋼分野の壊滅的な過剰生産能力と価格競争の抑制、そして家計貯蓄をテクノロジーと 半導体開発に振り向け続けることだ。4.5〜5%の成長目標は7月の政治局会議にかかっている。
見解の分かれ
国営メディア(MOFCOM/新華社、求是)はこの路線を規律ある構造改革と位置づけ、 「中国を封じ込める試みは失敗する」と断言する。香港のSCMPは同じ 議事録を広範緩和の意図的な拒否と読む。財新系の市場アナリストは問題の核心を石油価格では なく弱い需要に見いだす。日本のRIETIと米国の中国専門家(アジア協会)は診断において一致 しており、過剰生産能力と囲い込まれた貯蓄がその原因だと見る。ただし「リバランス」を 供給優先の現実に被せたレトリックとして扱う点でも共通している。
数字で見る
- 約73.9%、製造業設備稼働率、2020年を除く過去10年で最低水準に接近。
- 0.2%、4月小売売上高の前年同月比伸び率、2022年12月以来最低。
- 4.5〜5%、2026年GDP目標、「約5%」から引き下げ。
- 約+14%、2026年1〜4月輸出の前年同期比、モデルの最後の強いエンジン。
- 5.7〜5.9兆元、インフラ関連予定支出、2025年比8〜12%増。
なぜ重要か
中国は自国の消費を抑制しながらデフレを輸出しており、貿易摩擦(Trade Rules)を拡大させ、 世界需要を圧迫している。囲い込まれた家計貯蓄が半導体とAI推進を支えるが、世界が 待ち望むリバランスには上限がかかる。習近平の賭けは、消費者救済よりも産業支配だ。
注目点
- 7月政治局会議: 4.5〜5%目標が維持されるか、財政政策が「一層積極化」するか。
- 「反内巻」の具体的な執行、EVと太陽光における価格下限と生産能力上限。
- イラン戦争の輸入コスト衝撃が長引いた場合の中国人民銀行の金利・預金準備率の動向。
- 第2四半期GDPと6月の小売売上高: 需要停滞の確認。